10月のある日
今日は先日の「食・浴の秋まつり」の振替として、休暇をいただいた。
といっても、一日の休暇でできることはあまりない。
悲しいことに僕の財布事情は、自由な生活はできても自由な生計を立てることはできないのだ。
結局、金の掛からない趣味に走ってしまうのは、貧乏性と言うべきか、それとも建設的であるのか。
とは言っても、部屋で過ごす休暇にも計画性は必要だ。朝何時に起きて、食事は何を食べるのか、運動は何時から、どの映画を見るか、どの本を読むか、散歩する時間帯はいつ、風呂の終了時間を計算に入れて。
旅行する時には、多少無計画な人でも事前に観光スポットなんかを調べてから行くし、ホテルなどの寝床も目星は付けていくだろう。
部屋で過ごす一日は、そんな旅行よりも無計画で良いような気がする。
しかし僕の経験上こういった何でもない日こそ、ある程度やることを決めてないとただただ床に横になって、碌な考え事もせず一日を終わらせることが多い。
幸いなことに、僕は金の掛からない趣味に関しては幅が広い。
絵も描くし、文章も書くし、本も読むし、映画も見るし、料理も作るし、暇つぶしにランニングするし。
悲しいことに独りでできる遊びばかりスキルが上がってしまったもんだなぁ。
もちろん友人と遊ぶのも大好きなんだけどさ。こっちじゃ、遊びに行ける友達がいないんだよね。
まあ、そんなことで僕の一日は始まった。
目覚めたのは午前の9時30分。
平日としてはかなり遅めの起床だけど、休日ならば及第点といったところかな。
せっかくの休日に早起きすべきか、普段より惰眠を貪るかは人それぞれだけど、9時30分なら、まあ後ろ指を指される程でないでしょう。
続いて、朝食を作るべきか考えた。
9時30分からもろもろ朝にやるべきことをやって、既に時計の針は10時を過ぎている。朝食をとるには流石に遅い。
ここで無理するよりも、昼食を豪華にするほうが時間的にも胃袋的にも優しいだろう。
ということで朝の予定から「朝食」を削除。インスタントコーヒーを苦めにつくって飢えをしのぎつつ、頭のスイッチを入れることにした。
そこで肝心の昼食だが、僕の家には今大量の野菜がある。
地域の方からの貰い物やら、安くて衝動買いしてしまったものやら、結果的にそういうものが積み重なって寺の供え物のようになっている。
流石に今日はこの野菜を消費しなくてはいかんだろう。
これは貧乏性ではなく、食材を大事にするべきという一常識である。
ということで、随分前からほったらかしになっていた小ぶりのかぼちゃを料理することにした。
かぼちゃといえばハロウィンが思い起こされる。
考えてみると、何故かぼちゃに顔を彫り込んでランタンにするのか、悪魔やら骸骨のコスプレをして菓子をねだるのか、結構シュールなお祭りである。
あれ、夜だから雰囲気あるけど、昼間にやたら目付きの悪いかぼちゃを見たらすっごくバカみたいだと思うぞ。アタック・オブ・ザ・キラートマト……。
しかし、せっかくかぼちゃがあるんだし、ちょっとハロウィンかぶれで料理くらいしてみるのもありかもしれない。
ということで、かぼちゃの形を丸のまま残して調理することを決めた。
作ったのはシチュー。
かぼちゃは元々質感がしっかりあるから、ちょっと水を混ぜて小麦粉を入れてやれば簡単にシチューになる。ただ、かぼちゃの形を残すとなるとこのかぼちゃの身をくり抜くのにも一苦労だ。
何度かレンジで温めながら、切りやすく、しかし形が崩れない程度まで熱していった。
味付けは、コンソメと砂糖。
具はマカロニと玉ねぎ。
どっちかって言うとシチューというより、グラタンの中身になってしまったが、これはこれで中々。
温めてる間暇だから、蓋にジャック・オー・ランタンを彫り込んでみた。
やってみると意外に口元のギザギザが難しい。
ただ人生で初めてハロウィンらしいものを作れたのは、いい記念になった。